ウズラとチャボは鳥類で同じキジ科の仲間です。また、鳥に共通してかかりやすい病気などがあり、2種類とも似たような病気にかかることが多いです。
鳥には他の動物にはない機能や生態の特徴があります。素嚢(そのう)という消化管の一部を喉のあたりに持っていたり、メスは毎日のように卵を産んだり、鳥類は特に体が弱っていることを隠し人が異常に気付けなかったりもします…
そのようなポイントをいくつか絞って病気と予防方法を紹介したいと思います。
ウズラとチャボの病気
そのう炎
そのう内の餌が腐敗したり、細菌が増殖すると炎症になりやすくなります。原因となる主な菌は、カビの一種です。
(トリコモナスやカンジダなどの原虫)症状は、臭い嘔吐や口臭、なまあくび(眠くない時に出るあくび)をしたり、
水をよく飲むようになります。また首の付け根の皮膚が充血したりします。
予防→
①エサを清潔に保つ
②水分の多い餌は傷みやすいので注意する
③餌が腐る前に取りかえてあげる(特に夏)など
④炊いたお米を与えない(そのう内で固まり腐り、炎症の原因になる)
炎症
卵管
卵詰まり
卵が通る卵管に詰まってしまう病気のことです
これは卵の殻を作るためのカルシウムが不足で卵が柔らかくなってしまう症状です。
原因はさまざまあり高齢、未成熟での産卵などが例として上げられています。
症状は、お腹がふくらんでいるのに産卵せず隅でうずくまるなど苦しそうにします。
また、毎日卵を産んでしまう仔ほど詰まりやすくなります。
予防→
①無駄な発情や産卵をさせない(発情期に多様に触らないようにする)
②繁殖をさせる際は適切な栄養を与える
③繁殖させないのなら高カロリーな餌は与え過ぎない
④日光浴を十分にさせる
(鳥は紫外線を浴びることで、皮膚でビタミンDからD3を合成する。
ビタミンD3はカルシウムを吸収するために必要な要素です。ビタミンD3が不足するとカルシウムを吸収できない為、
しっかりとした卵が作れないほか、骨粗鬆症、骨格異常、軟卵、痙攣、腎臓の問題を引き起すことがあるようです)
餌を食べない
肝障害
ちゃんとご飯を食べているにも関わらず太ることが出来ないなどの症状が出てくる。
また、体重が減少し体力も落ちて行ってしまいます。他には、嘴が人間の爪のように薄く不自然に伸びる、
腹や身体の羽の模様が分かりにくい、はっきりしない。毛の色つやが悪い。
予防→
①主食・副食・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取すること
②高タンパク質、高脂肪の物を摂取しすぎないようにする。
(どんどん肝臓への負担が大きくなり、肝臓の仕事である消化、吸収、代謝、貯蔵の働きに影響してしまいます。
その為、肝臓の機能を低下させてしまいます。)
腫瘍、イボ、足
趾瘤症
趾瘤症(しりゅうしょう)は別名“バンブルフット”とも呼ばれる鳥類の足にできる病気です。
座った時に体重の掛る膝や、足の裏に体重が掛るところに瘤(コブ)ができて、内部の炎症が進行ししまう病気です。
内部の炎症は骨まで達することもあり、症状の進行は、数ヵ月単位で進んでしまいことがあります。
その瘤(コブ)を痛がるようになり、適切な治療を施さないと半年か1年で歩けなくなることもあります。
これができてしまうと歩行が困難になりやすいです。
酷くなってしまうと、膿がたまったり、それが骨まで達し変形させてしまうこともあります。
その場合は手術をしないといけないこともあります。
予防→
①足に負担をかけない床にする(固くない素材)
②足に合った止まり木を用意してあげる
③早期発見できるよう細かくチェックしてあげる
鶏疥癬
鶏疥癬(とりかいせん)は足のウロコが逆立って、ボコボコになっている状態、鶏冠は、白く粉を噴いた状態のです。
これは目に見えないヒゼンダニによる症状です。
何羽か一緒に飼育しているとすべての個体に感染する可能性があります。
インコ類の鳥では嘴やろう膜(鼻の周り)に広がり皮膚を変形させたりもします。
予防→
①ダニが増えないように清潔に保つこと
予防→
①フンや餌入れなどの熱湯消毒を心がける
②ケージの隅やとりにくい場所のフン、汚れをしっかり取る
原虫、寄生虫による疾患
原虫ではトリコモナス、ジアルジア、ヘキサミタといった種類のものが感染してしまう。
これらに感染したら、さまざまな症状が出てきます。ヒナの時から原虫をもっていることも少なくありません。
トリコモナスは、そのう炎や、嘔吐や食欲不振、風邪症状、のどの奥の腫瘍などに症状がでます。
ジルアジアとヘキサミタは、腸炎症状や、下痢を起こしてしまいます。
原虫・寄生虫
膿腫・脂肪腫
膿腫・脂肪腫
膿や脂肪が皮膚に溜まったもののことを言います。良性のものや悪性の腫瘍が存在します。
脂肪腫の主な症状は、1cm~3cmの大きさの腫瘍です。
脂肪分の多い餌を与えすぎたりすることで発症しやすくなる確率が上がります。
また、羽包(羽の付け根の部分)から発生することが多いと言われますが、線維組織の腫瘍である線維腫や線維肉腫、
血管の腫瘍である血管腫や血管肉腫などもよく見られ、骨や筋肉などの皮下の腫瘍が皮膚腫瘤に見えることもあり、
リンパ肉腫、メラニン色素の腫瘍の黒色腫なども見られることもあります。
目や鼻の周辺、くちばしの根本や皮膚にイボが現れたり、体のどこにでもできてしまう可能性がある病気です。
予防→
①こまめに体や足などを触ってチェックしてあげる
②早期発見をし、早く獣医に見せること。
悪性の場合は早期の摘出をしてあげる事が大切です。
糞、下痢
糞・下痢
※鳥は哺乳類と違い、排泄孔が肛門と尿道口に分かれていません。
1つの排泄孔で糞便と尿が同時に排泄される、総排泄校という場所から排出します。
尿には、固形尿(尿酸)と水分尿があるため、血便と血尿を混同したり、下痢の区別がつかなかったり、
といった間違いが起こりやすいです。
●水のような糞をするときは熱中症が疑われます。
鳥は汗腺がなく呼吸の仕方と、水分を摂取することで体温を下げようとします。
その為、水分の多い糞をする事があります。
●下痢をして元気がない、死亡してしまったなどの場合、いくつもの病気が疑われます。
⇒伝染性気管支炎(でんせんせいきかんしえん)
口を開けて変な呼吸をしたり、ふだん聞いたことのないような鳴き声を上げたりする病気です。
個体により下痢だけが続く症状の場合もあります。
⇒コクシジュウム病
土壌にいるコクシジュウム原虫により腸が痛めつけられてしまい、肉のクズのような糞をします。
時には血便も見られます。
土壌の洗浄には、クレゾール系の薬剤が効果的です。 クレゾール系の薬剤は、卵塊を溶かす効果があります。
⇒壊死性腸炎(えしせいちょうえん)
赤い便をしていきなり死んでしまう病気です。土壌にいるウエルシュ菌により口から感染することが多いですが、
傷口からも感染してしまいます。これが腸まで届いてしまうと、ひどい炎症を起こし血のついた糞をします。
⇒ロイコチトゾ-ン
ニワトリヌカ蚊と言う蚊が運ぶロイコチトゾ-ン原虫が血液の中に入りこみ、血液を壊してしまう病気です。
そのことにより青色の便や貧血を起こしてしまいます。夏をすごしたことのないヒナや若い鶏が発病しやすいです。
膨羽(羽を膨らます)・餌を食べない
予防→
①糞の状態を観察して普段のしている糞の形などを把握し、変化があったら病院に連れて行く。
(様子を見て直るようだったら温度を高く28℃~30℃くらいに保つなどしてあげる)
②ウイルスがいるような土壌の上に出さない
③糞などの処理をこまめに行いウイルスや細菌を発生させない
膨羽嗜眠
※鳥の平均体温は42℃~43℃です。食べている餌の栄養分はその高い体温を維持するために使われています。
その体温が低下したり、具合が悪くなると膨羽嗜眠(ぼううしみん)と言う状態になります。
羽を膨らませ首を埋めるような体制で目をつぶることです。羽毛にツヤがなく、バサバサした感じになります。
いつものような活発な動きがないのがほとんどだと思います。
鳥は自分が弱っている姿を最後まで隠そうとする生き物です。
その為、膨羽嗜眠を見かけたらすでに症状が悪化している可能性があります。
体力が落ちる過程
体温を維持できない(膨羽)→体温が下がる→内臓の動きが鈍くなり消化能力が落ちる(下痢)→消化できずに糞が排泄される(未消化糞)または餌が内臓に詰まってしまう(食滞)→栄養が取れずにより衰弱する→飢餓
伝染病・感染症・ウイルス
チャボや、ウズラを飼育する際に伝染病や感染症、ウイルスにかかってしまうのではないかと心配する方も少なくないと思います。ですがワクチンを接種することで未然に感染をしにくくすることが出来ます。
これは養鶏場などでも実際に行われているワクチンの種類です。
ワクチンにも種類があり、生ワクチン、不活化ワクチンがある。病気の流行状況や汚染状況、
そうじのしかたなどを考慮して、計画的にワクチン接種を行う必要があります。
一般の私たちではこのような対策を直接してあげられません。正しい取扱い、よりたくさんの情報を知りたい方は
家禽類に詳しい病院に行くことをお勧めします。
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ニューカッスル病(ND):急死、緑色下痢、呼吸器症状、神経症状、異常卵、産卵停止
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鶏痘(けいとう)(FP):とさかなどの発痘(はっとう)、産卵の低下
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伝染性気管支炎(IB):呼吸器症状、産卵の低下、卵殻異常、卵白の水様化、下痢
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マレック病(MD):痩せる、脚・翼・頸などのマヒ
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伝染性コリーザ(IC):鼻汁、顔面のはれ
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清潔に保ち、ウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにし鳥の排泄物に触れた後には手洗いとうがいをすれば、心配する必要はありません。
ウイルスの中には、家禽類のニワトリ・ウズラ・七面鳥等に感染すると非常に高い病原性を持つものもあります。
このようなタイプを高病原性鳥インフルエンザと呼び、世界中の養鶏産業にとって脅威となっています。
間違われがちなのが、
「外部で鳥インフルエンザが発生したからといって、すぐに家庭等で飼育している鳥が感染する」ということです。
そんなことはありません!
鳥インフルエンザ
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中の鳥を外に放したり、自宅で処分するようなことはしない。
~感染経路~
感染した鳥やその排泄物、死体、臓器などに直接、接触することによってまれに感染することがあります。
また、感染し渡り鳥からや、他の動物の体の表面に付着して移動します。
ウイルスが付着した用具、乗り物、飼料、靴等を通し、農場や地域を越えて感染が広がる可能性もあります。
日本では発症した人は確認されていません。
ペットから感染する病気は手洗い、うがい、ペットの身の回りを清潔に保つ事で防ぐことが出来ます。
鶏や他の鳥、小動物は糞尿をそのままにしてしまうと乾燥し空気中に舞い呼吸をした際に体の中に入ってきてしまう事があるので、特に注意して掃除をする必要があります。
人獣共通感染症(動物由来感染症)
またの名をズーノーシスとも言います。これは人と動物がかかる病気です。
ペットと暮らしている家庭が増えてきた世の中になった社会。
動物とより近い距離にいる私達はこのような病気があるということを知っておくと大切な家族を守る事にもつながります。上手く人と動物が共存する為にもこのような病気があることを知っておきましょう。
●ライム病
ライム病は、小鳥などを保菌動物として、野生の マダニによって媒介される人獣共通の細菌による感染症です。
関節炎、および遊走性皮膚紅斑、良性リンパ球腫、慢性萎縮性肢端皮膚炎、髄膜 炎、心筋炎などが、
現在ではライム病の一症状であることが明らかになっています。
●カンピロバクター症
家畜の流産あるいは腸炎原因菌として獣医学分野で注目されていた菌で、ニワトリ、ウシ等の家禽や家畜を
はじめとする、ペット、野鳥、野生動物などあらゆる動物が保菌しています。人へは菌に汚染された食品、水の摂取や、動物との接触によって感染します。
オウム病はクラミジアという微生物によって感染する感染症です。オウム病クラミジアにとって鳥は自然宿主であり、
ヒトは感染鳥類から排泄物、汚染羽毛、糞便の吸収により感染します。
小動物など鳥類以外から感染することもあります。
症状:
人が感染すると発熱、筋肉痛、頚部痛などの症状、関節痛、リンパ節の腫脹もみられることがあります。
動物は、血を吸血され体力の低下などが見られる。
症状:
人はその金の潜伏期間にもよりますが、腹痛、下痢、発熱が主症状です。発熱、体のだるさ、頭痛、筋肉痛などの
前駆症状があり、次いで吐き気、腹痛が見られます。
サルモネラ菌の症状よりも軽い。
動物はほとんどが無症状ですが、仔犬などは下痢の症状がみられる事が多いです。
●オウム病
症状:
人は軽症のインフルエンザ様症状から多臓器障害など色々あります。初発症状として、38℃以上の発熱、咳が現れます。頭痛も約半数に見られ、時に血痰(けったん)や胸痛を伴うこともあります。
重症になると、呼吸困難感(チアノーゼ)や意識障害、多臓器への炎症、髄膜炎(ずいまくえん)や心外膜炎、心筋炎、
関節炎、膵炎(すいえん)などの症状を引き起こすこともあります。
鳥は、食欲が落ち、衰弱、脱毛、下痢、鳴かなくなるなどの症状がでます。軽い症状で回復したり、感染しても症状が
出なかったりすることもありますが、ヒナなどの幼い鳥では重症になることがあります。
参考文献
http://www.anima-jp.com/torinobyouki.html
http://www.avianmedicine.jp/category/1556340.html
http://www.geocities.co.jp/AnimalPark-Shiro/6495/kitoku.html
http://zookan.lin.gr.jp/kototen/tori/t224_6.htm
ワクモ科のダニの仲間でニワトリや野鳥に寄生します。
活動時期としては、初夏~夏にかけてが多(特に梅雨頃、湿気が多い)
ヒトに移った場合は、激しい痒みとともに皮膚炎を起こします。世界に広く分布しており,日本でも幅広い場所で見られます。
夜間に体から吸血をし,昼間は体から離れると鶏舎の場合は壁などの隙間,野外では野鳥の巣内に隠れています。
症状としては、鶏が卵を産まない、夜中に苦しそうな悲鳴が聞こえる、蚊に刺されたような跡がある、などこんな状況が続きます。
体長は0.7mmほどで未吸血時は灰白色または褐色であるが,吸血後は1mm以上にもなります。その際、ワクモの色は赤褐色から黒色に変色します。
雌により1日10個ほど産卵された卵は2~3日で孵化し,5日間ほどで幼ダニへと成長します。第1,2若ダニを経て親ダニとなります。卵と幼ダニ期以外は吸血すると言われています。
ワクモ(ニワトリダニ)
予防→